新体制始動のミラン。鬼軍曹vsオーナーの関係に一抹の不安 (3ページ目)

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko photo by BUZZI/FOOTBALL PRESS

 ミハイロビッチはイタリアでは鬼軍曹で通っている。彼はビッグネームであろうが、過去にどれほどのタイトルを獲得していようが一切気にしない。彼が認める選手とは、ピッチの中で全力で戦う者だけだ。どんな失敗をしてもインザーギに過保護に守られてきた選手たちにとっては、かなりきつく感じるかもしれないが、今のチームの生ぬるい空気を一掃するには悪くない人選である。また、彼は言葉巧みで(彼のイタリア語はネイティブ並みに優れている)、それによって選手の気持ちを鼓舞させるのも得意だ。

 新体制が始動した初日、ミハイロビッチはベルルスコーニ会長、ガッリアーニ副会長と記者会見に臨んだが、そこでも「かつてミランがユニホームに赤と黒を選んだのは、相手チームの畏怖を煽るためだ。自分のミランを私はそんなチームにしたい」と語っている。

 この会見を見ていて一つとても気になることがあった。それは、テクニカルな質問にもすべてベルルスコーニがさらって答えてしまっていたことだ。ミハイロビッチはトップから口を出されることが好きではない。

 おまけにベルルスコーニの好むサッカーとミハイロビッチの好むサッカーはかなり異なる。ベルルスコーニはテクニカルで優美なサッカーが好きだが、ミハイロビッチは闘志むき出しのサッカーを好む。またシステムにおいてもミハイロビッチはこれまで4-3-3のシステムを採ることが多かったが、新シーズンはベルルスコーニの“たっての希望”により4-3-1-2でいくことが決まっている。この二人がどこまでお互いを相容れられるかが、新生ミランの大きな鍵であろう。

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