岡崎慎司がイングランドで成功するために必要なこと (3ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi photo by Getty Images

 日本人として初めてプレミアリーグでゴールを決め、計5シーズン、3クラブでプレイした稲本も、成功したとは言い難い。プレミアリーグのピッチに立てたのはフルハムに移籍した2年目で、ウェスト・ブロム時代も含めてレギュラーとして活躍した時期は短かった。

 また、加入後に即レギュラーとしてプレイした中田にしても、イタリアでの実績がありながら21試合1得点という記録を残し、そのシーズンを最後に引退。これまで最も結果を残したと言える香川は、1年目こそ20試合6得点という及第点の成績だったが、2年目は輝きと出場機会を失い18試合でゴールなし。現在は吉田麻也が地道にキャリアを重ねているが、残念ながら定位置を確保するには至っていないというのが現状だ。

 過去、これだけの強者たちが挑戦しながら、なぜ日本人選手はプレミアリーグで成功を手にすることができていないのか? おそらくそれは、プレミアリーグが世界で最もフィジカル能力を要求されるリーグだからだと思われる。

 とりわけ、屈強なDFと対峙することに慣れていない日本人FWにとって、プレミアリーグでゴールを量産することは容易ではない。もちろん岡崎の場合は、身長の高いDFが多いブンデスリーガで結果を残したという実績はある。しかし、プレミアリーグのDFは、ブンデスリーガのDFと同じ“高さ”以外に、“強さ”、“速さ”、“巧さ”の質がひと味もふた味も違う。しかも上位チームは戦術レベルもヨーロッパ屈指。個の能力に加えて組織力という大きな壁も立ちはだかる。

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