コパ初優勝のチリ。神経戦を制した同国史上最強チーム (3ページ目)

  • 三村高之●文 text&photo by Mimura Takayuki

 しかしロスタイム、カウンターからメッシがドリブルで上がり、左サイドのラベッシへパスする。そこからのクロスをファーポストでフリーになっていたイグアイン(ナポリ)が合わせたが、シュートはサイドネットへ。この試合で最も得点に近いシーンだった。一瞬で試合を決定づけることが可能な、メッシらアルゼンチンFW陣の怖さを改めて思い知らされた。

 延長戦前半のキックオフから、アルゼンチンは左SBのロホ(マンチェスター・ユナイテッド)が突然攻撃的になる。これによりアルゼンチンも勢いづくが、結局、両チーム共に得点は奪えず。スコアレスドローとはいえ、激戦の好試合だった。

 PK戦はチリが3人続けて決めたのに対し、アルゼンチンは2人目のイグアインが枠を外し、3人目のバネガ(セビージャ)もGKブラボ(バルセロナ)に止められた。そしてチリ4人目のサンチェス(アーセナル)が、悲願の初優勝につながるシュートをゴールネットに突き刺した。

 主だった大会でいうと過去には1999年のコパ・アメリカと昨年のW杯の2回、PK戦を経験しているチリ。だがいずれも敗れており、今回はまさに3度目の正直だった。母国アルゼンチンを下したサンパオリ監督は、「ついにチリが優勝カップを獲得することができた。これは計り知れないこと、忘れられないことだ」と喜びを爆発させた。街には人々が繰り出し、「チ!レ!チチチ、レレレ、ビバ!チレ!」と、チリを讃えるかけ声が深夜まで響いていた。

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