アルゼンチン人監督が席巻のコパ。決勝はビエルサの弟子対決に (3ページ目)

  • 三村高之●文 text&photo by Mimura Takayuki

 元パラグアイ代表の守護神チラベルトは、「あいつは何も知らない。経験のない息子をコーチにして高い金取って、泥棒みたいなやつだ」と痛烈にディアスを批判している。息子というのは32歳のエミリアーノ。横浜マリノスの小学生チームでプレイしたこともあるが、選手としては大成せず、4年前から父親のアシスタントコーチになっている。確かに批判もあるディアスだが、準々決勝でブラジルをPK戦で下し、あらためて「持っている男」であることを証明した。

 準決勝第1試合。チリとペルーは非常にライバル意識が強く、両者の対戦はクラシコ・デル・パシフィコ(太平洋ダービー)と呼ばれる。「ペルーを倒せ」というチリサポーターで埋まったスタンドは、試合前から過熱気味。そこにチリ代表キャプテン、ブラボ(バルセロナ)の、ヘイト行為をしないように、ペルー国歌に敬意を払うように、というアナウンスがなされ、試合前のセレモニーは穏やかに行なわれた。

 試合はチリ優位の予想だったが、FWのゲレロにボールを集め、そこから強引に突破を図るペルーが主導権を掴んだ。チリは準々決勝のウルグアイ戦でカバーニ(パリ・サンジェルマン)を挑発したCBのハラ(マインツ)が不在。試合後、多くの地元メディアが、「“あれ”がなければ、やられていた」と伝えるほど、ペルーの攻めは厳しかった。“あれ”とは、20分に起きたペルーDFサンブラーノ(フランクフルト)の一発退場だ。

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