痛しかゆし? 名将たちが編み出した「メッシの止め方」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 試合はPK戦に突入し、コロンビアは儚(はかな)く散ったが、90分では負けなかった。なにより、メッシの封じ込めにはほぼ成功したのだが......。

 どうやったら、メッシを止められるのか? 欧州では対戦相手の監督たちが、ほとんど日常的にその難問に戦いを挑んでいる。

 例えば2005~06シーズンのチャンピオンズリーグ(以下CL)決勝トーナメント、ジョゼ・モウリーニョ(チェルシー)はアシエル・デル・オルノをメッシの密着マークに付け、封じ込めようとしている。

 デル・オルノは左利きで大柄で筋骨隆々、トップスプリンターで走力が長所。だが、この策は完全に失敗した。メッシに楽々と中央へとボールを運ばれ、引きずり回され、ファウルを多発。さらに空いた左サイドのスペースをデコに使われ、混乱したデル・オルノはメッシへの危険なチャージで、あえなく退場することになった。

 多くの監督がメッシへのマンマーク策を用いているが、そのほとんどが失敗している。フィジカル能力に優れたディフェンダーにマンマークさせても、90分は守りきれない。かと言って、ゾーンで受け渡しながら守ろうとしても、その間を打ち抜かれる。

 しかし、試みがすべて失敗したわけではない。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る