飲酒事故不問に挑発、コパ初優勝へ何でもありのチリ

  • 三村高之●文 text&photo by Mimura Takayuki

 カバーニの退場のきっかけとなったのはDFハラ(マインツ)の挑発だった。それまでもこの両者は激しくやりあい、お互いに顔を撫でるなど一触即発の状況だった。そしてとどめはハラがカバーニのお尻にタッチ。ビデオで観ると、お尻の中央に当てた手の中指と薬指が曲がっている。この2本の指はお尻の谷間へ入っていた。たまらずカバーニが振りほどいた手がハラの顔に当たると、大げさに倒れて退場へ追い込んだ。

 もはやチリは初優勝のためなら何でもあり、といった感じだ。世論でもこの行為は肯定され、「神の手」ならぬ「神の指」というネットゲームまで現れた。後日行なわれた他の準々決勝のスタンドには、チリサポーターがハラを称賛するメッセージを多数掲げていた。中には、「ハラ、今度はメッシに肘まで入れろ」というものまであった。

 一方、憤懣やるかたないウルグアイ協会は、ハラを南米サッカー連盟に提訴した。ブラジルのドゥンガ監督も、「何らかのペナルティを科すべきだ」とこれを支持している。ペルーとの準決勝を前に、南米サッカー連盟はハラに3試合出場停止の処分を発表した。これに対してチリ協会は「チリ選手やサポーターを侮辱、挑発した」として、カバーニ、ゴディン(アトレティコ・マドリード)ら7名のウルグアイ選手を提訴しており、さながら泥仕合の様相を見せている。

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