飲酒事故不問に挑発、コパ初優勝へ何でもありのチリ

  • 三村高之●文 text&photo by Mimura Takayuki

 ひとりだけ気が緩んでいたビダルは、性根を入れ替えると同時に国民とチームメイトに感謝。厳しいだけと思われていたサンパオリ監督は、この温情によって選手からの信頼を勝ち得た。飲酒運転という許されない行為ではあったが、奇しくもそれが団結の強化につながった形だ。

 準々決勝の相手はウルグアイ。コパ・アメリカは開催国が有利なシステムになっており、グループAで1位になれば、相手は「全グループ中で2番目の3位」という、ベスト8の中で最も成績の悪いチームとなる。しかし南米の中でウルグアイは、過去の実績からアルゼンチン、ブラジルとともにビッグ3として畏怖されている。

 実は今回の両代表の選手評価額は、チリが総額約1億9千8百万ドル(約260億円)でウルグアイは約1億9千2百万ドルとわずかながらチリが上回っている。それでもボリビア戦で2得点したMFアランギス(インテルナシオナル/ブラジル)は、「過去の試合では、我々が有利でウルグアイは2回しかチャンスがなかったのに、それで2点取られたことがあった。試合が終わるまで、一瞬でも気を抜いたらやられてしまう」と警戒を怠らなかった。

 試合は、公式データのポゼッション率が79.5%対20.5%という驚きの数字でチリが圧倒するが、ウルグアイは最後の一線を死守しカウンターで対抗。しかし63分にウルグアイのFWカバーニ(パリ・サンジェルマン)が2枚目のイエローカードを受けて退場。これでさらに有利になったチリが、81分にMFイスラ(QPR)のゴールで準決勝進出を決めた。

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