コロンビアが陥った、名将ペケルマン2期目の罠 (2ページ目)

  • 三村高之●文 text by Mimura Takayuki photo by Getty Images

 この大会、ファルカオは前線で存在感を示しているが、決定力に関していえば負傷前のレベルに戻っていない。ブラジル戦で、ファルカオが中盤からドリブルでゴールへ突き進んだとき、FWのグティエレス(リバープレート)がフリーのハメス・ロドリゲスにパスするよう指示した。しかしファルカオはミドルシュートを選択して枠を外した。それに対しグティエレスは、「なんでパスしないんだ」とばかり、ジェスチャーで不満を表していた。以前は見られなかった光景だ。

 代表は練習時間が少ないとはいえ、W杯で長期間過ごしたことで、今のメンバーはお互いのプレイタイルを熟知している。「核を作る」のは短期的手法で、さらに上を目指すならチームを融合させた方がいいはずだ。W杯後も続投となったペケルマンは、今、その課題と向き合っているようだ。

 選手の側にも不安要素がある。

 W杯での活躍や、その後の格上クラブへの移籍などで、コロンビアの選手たちは非常に自信を深めている。W杯でブラジルと戦ったときはまだチャレンジャー意識が強かった。しかしコパ・アメリカでは、互角の相手という思いでぶつかっていた。

 もともとコロンビアには、「おれが、おれが」というタイプの選手が多い。それがチームワークを乱し、優秀な選手がいたのにしばらくW杯から遠ざかる原因でもあった。大物監督ペケルマンには選手も畏敬の念を持っており、その指示と規律に従ったことがブラジルW杯での結果につながった。

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