混迷する世界王者。「ドイツの時代」は早くも終焉か...

  • 鈴木良平●解説 analysis by Suzuki Ryohei text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

 それに、ゲッツェはクローゼのような純粋なストライカーではない。チャンスメイクはできても、ゴール前の潰れ役になったり、泥臭いゴールを決めたりといった、クローゼが得意とするプレイはできない。おかげで、ドイツらしい攻撃の形、リズムというものが確立できず、得点が減少している。

 ならば、ゲッツェは2列目に回して、他の選手を1トップに起用すればいいのだが、その人材もドイツには不足している。誰もが、帯に短し襷(たすき)に長しといったところだ。

 2列目の真ん中やサイドアタッカー、そしてボランチ、センターバック、GKには、他国がうらやむような豪華なタレントをふんだんにそろえるドイツ。だが、世界を制したサッカーを実践するには、やはりサイドバックと1トップが肝。それらを務める適任者が決まらない限り、負傷者たちが復帰しても、ドイツの苦戦は続くかもしれない。

 唯一の希望は、現在開催されているユーロU-21(U-21欧州選手権)に出場しているメンバーが、今夏から合流し、代表チームが再編成されること。U-21代表には優秀な選手が多く、そこから1トップやサイドバックを埋められる人材が発掘できれば、問題は改善に向かうのではないだろうか。

 何にしても、ユーロ2016本番では優勝候補に挙げられるドイツ。ブラジルW杯で見せた強さを再度披露し、「ドイツの時代」を継続していくためには、レーヴ監督が今ある課題をどうクリアしていくかが、ポイントになる。

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