ユーロ予選で見えてきた「2015年ヨーロッパ新勢力図」

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi  photo by AFLO

 まず、現在グループAで3位に沈んでいるオランダは、ワールドカップ終了後に名将フース・ヒディンクが1998年以来、自身2度目の代表監督に就任。「なぜ、今さらヒディンク?」という疑問の声が聞こえてきそうだが、これはユーロ終了後、現在アシスタントコーチを務めるダニー・ブリント(元オランダ代表DF)を後継者として育てるためのオランダ協会の計らい。あくまでも、チームの世代交代を進めるうえでの中期計画によるものだ。

 ところが、予選がスタートするやいなや、グループのライバルであるチェコに敗戦。さらには、急速に力をつけてきたアイスランドにも敗れるというハプニングもあり、現段階で3勝1分け2敗と、アイスランドとチェコの後塵を拝しているのだ。

 実は、オランダが世代交代の必要性に迫られたのは、ブラジル・ワールドカップ以前からだった。それまでチームを支えていたMFウェスレイ・スナイデル(ガラタサライ)、MFナイジェル・デ・ヨング(ミラン)、MFラファエル・ファン・デル・ファールト(ベティス)、FWロビン・ファン・ペルシー(マンチェスター・ユナイテッド)といった一流のタレントたちがいずれも30歳を超えるにもかかわらず、次世代の選手に同レベルのタレントが見当たらないという大きな悩みを抱えていたのだ。

 そこでブラジル・ワールドカップでは、ルイス・ファン・ハール前監督がプライドを捨ててカウンターサッカーに切り替え、それが奏功して準決勝進出という上々の結果を残せたわけである。自らの力を直視し、伝統の攻撃サッカーを放棄したのにはそういう背景があった。

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