データと管理。ハリルホジッチとレアル新監督の共通点

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 生粋のデータ合理主義者である二人の戦術は異なるが、その性質には既視感がある。興味深いのは、二人とも煮ても焼いても食えない策謀家の狡(ずる)さは感じさせず、等しく激情家であることだろう。ハリルホジッチは練習中から、その感情の昂(たか)ぶりが激しい。会見でも「伝えたい」という思いが溢れ出て饒舌になる。ベニテスも古巣のレアル・マドリード監督の就任会見で、思わず感涙。いわゆる感動家で、一部選手やコーチ陣との情宜(じょうぎ)は深い。

 同じ性質を持った二人の指揮官は、類似点のないフットボールを見せるかもしれない。しかし実証的理論を重んじる点は、間違いなく共通している。少なくとも、フランク・ライカールト(元バルセロナ監督)のように鷹揚さと包容力でチームを束ねるタイプではない。

 データ合理主義のリーダーが、それぞれどんな答えをたたき出すのか? 今後の見どころである。

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