データと管理。ハリルホジッチとレアル新監督の共通点 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 ベニテスは「AMISCO」(フランス・SUP社製のプレイ分析システム。専用カメラでピッチ上の選手を追尾し、走行距離やプレイエリア、ドリブルやパスの方向、角度といった多角的なデータを収集できる。プレミアやスペインなど欧州主要リーグで導入)をいち早く取り入れており、その依存度が高い。データ解析によって、選手の動きを制約、矯正してきた。

 走力に関しては、ハリルホジッチも大事な戦略要素としている。プレイインテンシティと置き換えてもいい。メンバー選考を見ても、走れる選手を求めているのは歴然だろう。

 もっとも、肝心のデータの使い方には違いがある。

 ハリルホジッチは、走力と組織連動を用いて相手を凌駕し、そこにワンタッチ、ツータッチで縦に速くボールを流し込んでいくのが信条で、アグレッシブなチームを目指す傾向が見える。それ故に速い攻撃からの得点が多いものの、テンポが落ちてずれたポジションを狙われる形での失点も少なくない。ブラジルW杯の試合を検証しても、派手なスコアが多かった。

 その一方で、ベニテスはバレンシア時代に1試合平均1.34得点、0.71失点と、実利に富んだスコアでリーグ優勝を達成。走力を使って相手の持ち味を完全に消し、その上で鋭いカウンターを狙う。戦法としては手堅い。2014~15シーズンのナポリは攻撃的な印象だったが、むしろ例外的だろう。

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