データと管理。ハリルホジッチとレアル新監督の共通点 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 データと管理は裏切らない――。その確信があるのだろう。

 一人、とても似たタイプの指揮官がいる。

 2015~16シーズンから世界王者レアル・マドリードで采配をふるうことが決まったラファエル・ベニテスである。

 ベニテスは、ジョゼ・モウリーニョ(現チェルシー監督)、ルイス・ファン・ハール(現マンチェスター・ユナイテッド監督)、ジョゼップ・グアルディオラ(現バイエルン監督)、カルロ・アンチェロッティ(前レアル・マドリード監督)らと並び、世界有数の指揮官と言えるだろう。偏執性すら帯びた管理主義によって、実績を積み上げてきた。「秩序」と「プレッシング」が戦術を語る代名詞。その完璧主義ぶりは、リーダーとしての強烈な個性である。

「同じ練習メニューを何度も何度も繰り返す。もう、うんざりだよ」

 バレンシア時代には選手がそう不満を漏らすほどで、ファンタジスタとして人気が高かったパブロ・アイマールは露骨に嫌な顔をしていた。例えばスローインからの攻撃練習を、完璧に成功するまで10回近く反復。執拗極まりない。また、DF、MF、FWの3ラインがコンパクトに保てるかを究めるため、少しでも乱れが出るとやり直し。ボールプレイヤーには、「失敗したらその局面次第で、最善の選択をすればいい」という開き直りがあるので、度が過ぎた規律は毛嫌いされる。

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