「悩みながら前進」。本田圭佑がこの1年で語ってきたこと (3ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Fujita Masato

「(シーズンの)立ち上がりは、フリーでシュートシーンにいかせてもらえていて、それで点が取れていたんですけど、途中から、少なくともゴール前ではフリーでさせてもらえない状況が続いて、点を取るなら何かしらもうひとつ、工夫が必要な状況だった。(得点できなくなってから)9~10試合はありましたので。新たな課題はもう既に感じていますし、そういう中での自分の成長というものも、日々、感じています」

 本田が得点から遠ざかるとともに、チームの成績も下降線をたどる。ミランの10番としてちょうど1年を過ごしたことになるこの頃、相応の重圧があることも口にしている。

「ミランの10番をやるというのは、ポジションとしてというよりも、立場として慣れないとやっていけない。それはメディアとのやりとり、ファンとのやりとり、当然ながら対戦相手とのやりとりなどピッチ上でのこと……全てあるわけですけど、自分が求めて来たので、なかなかタフな部分はありますけど、割と楽しんでいますよ。やはりこの難しさがないと自分が成長していけないと思うので。悩みながら、試行錯誤しながら、前に進んでる実感があります」

 年が明けてアジアカップを経てチームに合流すると、本田は2月1日のパルマ戦から先発で出場した。内外から批判があっても、インザーギ監督は本田を使い続けた。エゴイストなフォワードに比べて献身性があり、器用さもある本田を、多少の波があろうと、得点から遠ざかろうと、チームの軸として考えていたはずだ。だが、終わってみればチームは9位に終わった。 

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