CL制したバルセロナ。今季の真のMVPは誰だ (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 ユーベに同点ゴールが生まれたのは、後半9分。スタジアムは瞬間、騒然となった。だが、まさかの出来事という感じではなかった。起こるべくして起きた事件と言えた。
 
 試合はそこから撃ち合いになっていく。つまり、沈黙していたバルサの喧嘩魂に、ようやく火がつくことになった。となるとバルサは強い。メッシもしかり。ボールを受けても、のんびりとしていたそれまでとは一転、積極的に仕掛けるようになった。決勝ゴールが生まれたのは後半15分。

 メッシのドリブルシュートは、ブッフォンにセーブされたが、それをスアレスがプッシュ。スアレスは、目の前に迫るバルササポーターに雄叫びを上げた。

 とはいえ、残り時間はまだ30分以上もある。その後、ネイマールのヘディングシュートが決まったかに見えたが、ハンドの判定でノーゴール。1点差の時間は続く。ユーベも、守るものは何もないとばかり、看板選手のMFポグバを全面に押し出しバルサに向かっていく。

 決勝戦はつまらないとの定説は、完全に覆(くつがえ)された状態になった。

 もしバルサが前半、追加点を挙げていたら、試合そのものの魅力は半減していただろう。後半の後半が、これほどまで盛り上がることもなかったと思う。そしてバルサは勝った。まさに、勝利と娯楽性をクルマの両輪のような関係で追求しながら。

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