ピルロ最後のCL決勝。「圧倒的不利でも可能性はゼロじゃない」 (3ページ目)

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu 宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi

 たとえば、W杯82年大会を制したイタリア代表メンバーの大半はユベントスの選手で固められていた。そのことが示すように、今僕がいるこのクラブには、他のクラブとは一線を画す伝統がある。言い換えれば、もしもスタメン11人が外国人で占められるようになれば、それはもうユベントスではない。

 その意味で、11人中ほぼ全員がイタリア人選手で構成されるサッスオーロやエンポリが、今季セリエAで最も興味深いサッカーを見せたのは決して偶然ではない。しかも、その両チームの主軸何人かの所有権をユベントスが持っていることもまた偶然じゃない。

 資金が不足しているのであれば頭を使えば良い。つまり、選手を育てればいい。この本来の姿に戻りつつある現状は、おそらくそう遠くない将来に一定の成果として表れてくると思う。

――その点から見れば、かつてあなたが在籍したミランが、今これだけ厳しい状況下にあることをどう考えますか?

今でこそユベントスは国内で突出した地位にあるとしても、それこそ4年前の状況は今のミランと変わりなかったわけで、事実、5年前と6年前のシーズンは続けて7位に終わっている。重要なのは、中長期を見据えたうえでの明確なチームづくりのプラン、そしてクラブ全体の“結束”。とりわけ後者が、ここ数年のミランには決定的に欠けていたように思う。

 ただ、永遠に勝ち続けるクラブなんて絶対に存在し得ないわけで、いわゆる低迷期は決して珍しくはない。だから、この難しい状況を糧にミランは必ず立ち直ると僕は信じている。インテルだって状況は同じだ。「イタリアサッカー復活」のためには、彼らミラノ勢の存在を欠くわけにはいかない。

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