ピルロが語るCL決勝への思い。「これが僕の最後の試合になる」 (5ページ目)

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu 宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi

 つまり、ベルナベウでの試合であってもレアルに対して一歩も引かず、試合全体の少なくとも50%の時間は「敵を守備に走らせる」。そのための手段を監督は考え、それを選手たちが具現化させた。企業秘密がたくさんあるので抽象的な言い方しかできないけど(笑)、戦術面で緻密であると同時に、「闘う集団」でなければこのレベルで勝ち上がることはできない。今季のユーベは決勝へ駒を進めるに値するチームだと僕は確信している。

――2011年にミランからユベントスに移籍して4年が経過しました。この間、最も苦しかった時期はいつですか? また、年齢を重ねるごとに肉体は衰えていくなかで、その困難をどうやって乗り越えているのでしょう?

 最も難しかったのは、今年のドルトムント戦でやってしまった右足の故障だね。準備に準備を重ねて臨んだ試合だったし、何度も言うようだけど、おそらく最後になる今季のCLに懸ける僕の思いは特別だからね……。ただ、幸いなことにケガの程度はそれほどでもなかったから、文字どおりすべてをかけて回復に努めた。ユベントスでの4年を最高の形で終えるために。

 ミランから移籍した4年前を短く振り返ると、少なくはない者が「もはやピルロは終わった」と口にしていたなかで、僕は失いかけていた何かを心の中に取り戻すことができたように思う。

 リーグ4連覇で最も重要なのは2011-12シーズン、移籍1年目でのリーグ制覇。誰ひとりユベントスの復活を予想しなかったなかで、明らかに総合力で上回っていたミランを抑えて「無敗」で得たスクデットが、今につながる原動力になった。そして、勝利を重ねていくことでここまで辿り着いた。本当に濃密で、過酷を極めた4年間だった。

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