ピルロが語るCL決勝への思い。
「これが僕の最後の試合になる」

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu 宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi

――2009年10月21日。CLグループCの第3戦、ベルナベウでミランはレアルに勝利(3−2)。その試合でピルロはミラニスタたちが今なお決して忘れないゴールを決めてもいる(ミランの1点目となるブレ球のロングシュート)。

 あれは、自分でもなかなか真似のできないゴールだね(笑)。今回の試合に臨むうえで、やはりそのときの経験が生きたと思う。若い選手たちに “ベルナベウで戦う意味”とその難しさを繰り返し伝えたよ。“どうやれば勝てるか”という手段を考えに考え、たとえ世界中のブックメーカーが「レアル勝利」を予想しようとも、可能性は決してゼロじゃない、とチームメイトたちに伝え続けた。

――その手段を具体化してピッチに落とし込む役のアッレグリ監督は、試合前、どんな指示を出していたのでしょうか。

 それはいわゆる「企業秘密」。何と言っても“その手段”は次の試合、バルセロナとの決勝で採るそれと共通しているからね。ここで言えるのは、レアルとの180分間を前にして、ユベントスは相手の力が自分たちを上回ると十分に知りながら、決して相手を恐れなかったということ。これは言うほど簡単じゃない。そして、この部分こそがCLを勝ち抜くうえで最も大切な要素になる。

「セリエAを3年連続で制しながら、CLでは結果を出せない」と酷評されながら、ひとつひとつ勝利を重ねることで僕らは自信を抱くようになっていた。つまり、「ユーベは一日にして成らず」。というヘタなたとえはともかく(笑)、今季のユベントスの転機となったのは2015年3月18日、ヴェストファーレンシュタディオンでの試合(CL決勝トーナメント1回戦2ndレグ、対ドルトムント)だろうね。

3 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る