ピルロが語るCL決勝への思い。「これが僕の最後の試合になる」 (2ページ目)

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu 宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi

 あのシーズンのCLも、僕らは何度も難しい相手に行く手を阻まれそうになりながら、それでも"奇跡のような"試合を重ねて、決勝のアテネの夜(2007年5月23日)にたどり着いた(結果は2-1でミランがリバプールに勝利)。

 今、同じような景色を僕が目にしているのは確かだけど、8年前と今では、やはり決定的な違いがある。その奇跡のような勝利を重ねることで抱く興奮とか感動を、今の方が間違いなく"克明に"心の中で抱けている。これは年の功かな(笑)。僕は、自らのキャリアに残された時間が長くはないことを知っているからね。「今回が最後になる」と知るからこそ、本能的に目の前にある現実をより正確に見ようとしているんじゃないかな。とにかく、最後の決勝を心ゆくまで楽しみたい。

 話を準決勝のレアル戦に戻せば、これまで何度となく彼らと戦った経験があるといっても、今回ほど重要な試合は初めてだった。だから、まるで子どもみたいな言い方になってしまうけど「死んでも負けたくない」(笑)と、真剣に心の中で呟きながら臨んでいた。

 しかも、相手の指揮官は他ならぬあのアンチェロッティ。そして、レアルは僕が長く憧れ続けたチームでもある。まさにこれ以上ない戦いだった。だからこそ期するものがあったし、過去にレアルに勝利した経験を持つひとりであるからこそ、舞台が(レアルのホームである)サンチャゴ・ベルナベウであろうとも、負けないための手段を少なからず知ってもいた。わずかではあったけど、自信を抱いていたのも事実だよ。

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