買収から10年。アメリカの富豪がマンUで行なったこと (5ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper  森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 グレイザー家はユナイテッドの魂を理解していないと、よく批判される。だが実際、彼らはその魂を完璧に理解している。ただし、「魂」が金になると思っているだけだ。

 ナヤニはユナイテッドがグレイザーの下でこんなにも多くのトロフィーを獲得したと言うが、グレイザー家がいなかったらユナイテッドはもっと多くのタイトルを手にしていただろう。この10年間にグレイザー家がクラブから吸い上げた利子や巨額の銀行手数料、あるいは「クラブ管理費」としてポケットに入ってきた金など計5~7億ポンドを移籍市場で使っていたら、どれだけのスター選手を買えただろうか。サポーター団体のマンチェスター・ユナイテッド・サポーターズ・トラストが言うように、「ユナイテッドはクラブのほうがトラクターのようにオーナーを引っ張っていて、マンチェスター・シティではオーナーがロケット燃料をクラブに提供しているようなものだ」。
(続く)

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