CLで快勝。バルセロナが示したグアルディオラ時代との訣別 (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Getty Images

 77分、一瞬の出来事だった。早いリスタートをDFダニエウ・アウベスがカットし、ボールをメッシに託すと、アルゼンチン人FWは左足を力強く振り抜き、GKノイアーの手の届かないゴール右下隅にシュートを突き刺した。

 剛のシュートで先制点を奪った怪物は、2分後、今度は柔のプレイで得点を決める。カウンターからボールを受けた背番号10番は、切り返しでバイエルンのDFボアテングを簡単に地面に転ばすと、飛び込むノイアーの頭上を越える鮮やかなループシュートを放ちネットを揺らす。さらにロスタイムには、ネイマールのゴールをお膳立てするラストパス......。

 バルセロナを離れてから初めてのカンプノウへの帰還となったグアルディオラ。慣れ親しんだスタジアム、勝利に歓喜するスタンド、ホームチームの勝利を示すスコアボード。何もかもが3年前と変わらぬものだった。だがグアルディオラにとって違ったのは、その光景をライバルチームの監督として見守り、敗戦の責任を受け入れることだった。

 とはいえグアルディオラには、バルセロナ時代と変わらないものもあった。それはポゼッションだ。この試合、バイエルンは53対47でバルセロナを上回った。CLでは2006年12月5日のベルダー・ブレーメン以来、96試合ぶりにバルセロナをポゼッションで上回るチームが出現したことになる。もちろんバイエルンのMFシャビ・アロンソの語るように、いくらボールを持っても得点、勝利につながらなければ意味はないのだが。

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