ドルトムントがドイツ杯決勝へ。失点に絡むも香川真司に手応え

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Getty Images

 試合後、ラームは「何も今日、足を滑らせなくても......」と話している。ファンのSNS上には、滑り止めのついたバイエルンのロゴ入りソックスの写真が、まるで商品広告のようにたくさん流れることになった。

 ドルトムントは2番手、DFケールが決めるが、バイエルンは3番手のFWゲッツェも外す。続いてドルトムントの3人目、DFフンメルスのキックはGKノイヤーに止められた。そしてバイエルンの4人目。おそらく自らキッカーに名乗り出たノイヤーのキックはバーをたたき、試合は終了した。この大舞台で、2人が同じような外し方をするのも、4人連続でPKを失敗するのも、めったにあることではない。

 劇的な勝利に、ドルトムントのベンチは弾けた。クロップ監督は、GKランゲラックのもとへ一目散にダッシュでかけより、強く抱きしめて称えた。そして全員が、決勝進出が決定したときのために用意されていた「ベルリン(決勝が毎年行なわれていることから、ベルリンといえばドイツ杯決勝をさす)へ行くぞ!」と書かれた特製Tシャツに着替え、サポーターと喜びをわかちあった。リーグ戦で最下位に沈んだ時期もあるチームが、今季初めて見せた心からの喜びだった。

 この試合に先発し、後半25分に退いた香川真司も笑顔を見せた。

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