プレミア王者マンチェスター・シティが急降下した理由 (2ページ目)

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao photo by Getty Images

 振り返れば2月24日にCLベスト16でバルセロナとの第1戦に敗れてから、公式戦8戦6敗と急降下しているシティ。昨季に続いてのバルサ戦は、スコアこそ2試合合計1-3(第1戦1-2、第2戦0-1)と僅差だったものの、ホームでの第1戦はGKハートの好セーブが何本もありながら敗れるなど、内容的には完敗だった。

 敗戦のショック(空虚感というべきか)は想像以上に大きかったのかもしれない。過去3年で2度プレミアを制覇しているシティにとって、何より欲しいタイトルがCLだったことも、その後の切り替えを難しくしたのだろう。

 もちろん不調の要因は何も精神的な問題だけではない。ダービーでは今冬に獲得したFWボニーが使えなかっただけでなく、CBのコンパニがハムストリングを故障し、前半のみのプレイとなったことも痛かった。そもそも昨季までの安定感が嘘のようにパフォーマンスを落としていたコンパニだが、ただ守るだけではなく主将としてチームを後方から鼓舞する役目も担っていた。ダービー後半の気持ちの入ってないチームのプレイぶりからも、コンパニを欠いたダメージは決して小さくなかったように思う。

 指揮官ペジェグリーニの采配にも疑問は残る。CLのバルサ戦ではさしたる対策がないまま敗れたことが批判された。ダービーにおいても、特に同点とされてからは、フィジカルの強さを前面に出し前線に飛び出すマンUのMFフェライニに対して、それに対応するMFヤヤ・トゥーレが引っ張られてできたスペースをユナイテッドに突かれるシーンが目立ったが、最後まで修正できなかった。自らのサッカーができないときの"プランB"が無いのだ。

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