元日本代表監督候補、名将ビエルサはやっぱりマルセイユを変えた! (4ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi photo by Getty Images

 自陣でビルドアップに入ろうとするヴェラッティがパスの出し所を探していると、PSGのFWパストーレ(アルゼンチン代表)が下がってきてパスを受ける。そこに、パストーレのマーカーであるマルセイユのDFロマオがチェイスしてボールを奪取。前方に空いたスペースに走り込んだFWジニャクへパスを送ると、あっと言う間にビッグチャンスを迎え、ジニャクが冷静にゴールに流し込んだ。

 しかし、マルセイユは後半立ち上がりの6分間でセットプレーとオウンゴールにより無念の逆転負け。ただ、この日のマルセイユにもう少し運があったなら、勝利を手にすることは十分に可能だっただろう。

 イブラヒモビッチ(スウェーデン代表)らスター選手を多数そろえるPSGと、世界的にはほぼ無名の選手だけでチームを構成するマルセイユ。もしマルセイユに2、3人の代表クラスがいれば、両チームの力関係は逆転しそうな雰囲気が漂っていた。そう思わせるのはもちろん、指揮官ビエルサの存在があればこそ。

「素晴らしいショーを見せることができた。ただ、勝利することがサポーターを幸せにする唯一の方法であることからすれば、彼らをがっかりさせてしまったことが残念だ」

 いつものように終始うつむき加減でボソボソと話すビエルサは、最後にそうコメントして檀上を離れた。だが、敗れたとはいえ、今回の試合で手応えを感じられたのではないだろうか。少なくとも、退場者ひとりを出して2-0で敗れていた5カ月前のPSGとの試合と比較すると、チームが大きな進歩を遂げたことは明らかだ。

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