元日本代表監督候補、名将ビエルサはやっぱりマルセイユを変えた! (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi photo by Getty Images

 ビエルサにとって、スペイン語圏の外で仕事をするのは初めてである。また、決して勤勉とは言えない気風で知られるマルセイユという土地のクラブの監督に、厳格をもって知られるビエルサが就任することを不安視する声もあった。しかし、蓋(ふた)を開けてみれば、サポーターにビエルサ信者が急増し、地元メディアもそのサッカーにすっかり魅了されている。

 もちろん、"エル・ロコ" (スペイン語で変人の意)のニックネームで知られるビエルサの指導スタイルは、フランスでも変わらない。常にジャージを着用し、試合中はベンチではなくドリンクケースに座って試合を凝視。選手を極限まで追い込む厳しいトレーニングは、相変わらずマスコミやファンをシャットアウトして行なわれる。

 公の場以外、マスコミと親しく接触することも一切ない(このスタイルは、バイエルンのグアルディオラ監督も同じだが、それはビエルサをお手本にしていると言われている)。おそらく、それらが"変人"というイメージを増幅させているのだろう。

 スペインのアスレティック・ビルバオ監督時代にヨーロッパリーグ準優勝(11-12)という功績を残していることもあり、ビエルサのマルセイユ監督就任は、当初からフランス国内でも大きな話題を呼んでいた。

 とりわけ関心の的になったのは、「プレッシングとポゼッション」の両方を重視するビエルサ独特の戦術だ。就任会見時からビエルサの代名詞と言われる「3-3-3-1」の布陣について質問が飛び交ったことは記憶に新しいが、シーズン開幕後も話題は"ビエルサ戦術"に集中した。

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