パリSGようやく首位奪取。フランスリーグ大混戦の理由 (3ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atushi
  • photo by Panoramic/AFLO

 結局、国内では他チームとの実力差が開きすぎていることが最大の問題なのかもしれない。不振を指摘されながらも、現在は首位に立っていること自体、その裏付けとも言える。

 混戦となったふたつ目の要因として挙げられるのは、名将マルセロ・ビエルサを招いたマルセイユが、期待に違わぬパフォーマンスを維持している点だ。

 当初、タレント性に乏しい現在のマルセイユでは、独特の哲学と戦術を用いるビエルサのサッカーが浸透するまでには多くの時間を要すると予想されていた。ところが、開幕前のキャンプから厳しいトレーニングをこなした選手たちは予想以上に早く“ビエルサイズム”を飲み込み、第3節のギャンガン戦を皮切りに破竹の8連勝を記録。6試合を終えた段階で首位に立つと、クリスマス前の第19節まで首位の座をキープしたのである。

 相手のシステムによって「3-3-3-1」と「4-2-3-1」を使い分けるビエルサのサッカーは、オーソドックスな戦術が主流のフランスにおいて、旋風を巻き起こした。とりわけ、身体能力の高い選手たちによる前線からの激しいプレッシングとボールを奪った後の縦に速い攻撃は迫力満点。そのアグレッシブさに面食らう相手が続出した。

 そんな中、トップ下で攻撃の舵をとるディミトリー・パイエット、得意のドリブルと精度の高いキックを武器にして攻撃にアクセントを加える右サイドのフロリアン・トーバン、中盤のセンターで攻守の要となっているジャネリ・インビュラらが急成長。フランス国外ではほぼ無名の彼らが大活躍していることが躍進の秘密となっている。

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