パリSGようやく首位奪取。フランスリーグ大混戦の理由 (2ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atushi
  • photo by Panoramic/AFLO

 その原因と見られているのが、ブラジルW杯出場組のコンディション調整が大幅に遅れたことだ。新加入のDFダビド・ルイスは何とか帳尻を合わせたが、同じブラジル代表のDFチアゴ・シウバは開幕戦こそ強行出場したものの、その後に行なわれたナポリとの親善試合で負傷。結局、戦列に復帰したのは2ヵ月後のことだった。

 フランス、ブラジル、アルゼンチンといった8強に残った代表組の合流が開幕1週間前だったことを考えると、序盤の不振は決して想定外とは言い切れないが、そんな時こそブラン監督は選手層の厚さを生かした采配を見せるべきだった。

 エース、ズラタン・イブラヒモビッチの調子も例年とは少し違っていた。第4節まではハットトリックを含む5ゴールを記録して幸先良い滑り出しを見せていたが、第6節のリヨン戦でかかとを負傷して約2ヵ月の戦線離脱。復帰後もなかなか調子は上がらず、11月29日のニース戦でPKを決めるまで、ゴールネットを揺らすことができなかった。

 攻守の要のアクシデントに加えて、目立ったのは国内リーグへのモチベーションの低さである。国内では向かうところ敵無しのPSGが最も重要視しているのはチャンピオンズリーグ(CL)であることは間違いないが、年々その傾向が強くなっている印象は否めない。実際、3対2で勝利したグループリーグ第2節のバルセロナ戦でのPSGと、国内リーグ戦のPSGは、まったく別のチームのように見えた。

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