ミラン番記者が語る「本田にブーイングを浴びせた集団の正体」 (3ページ目)

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu 宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi

 2013-14シーズン、もはやミランにかつての強さはなく、名門はその長い歴史に幕を下ろして“並のクラブ”になった。つまり、今シーズンはミランが並のクラブとなって迎える2季目。本田もまた、ミランでの2季目を戦っている。

 そして、重要なのは、これからのミランが基本戦術を「4−4−2」に変えることで本田にもたらされる影響だ。つまり、MF4枚の両サイドは右がチェルチ、左はボナヴェントゥーラが第一の選択肢となり、FW2枚はメネスとデストロ。

「4-3-3」の右FWで起用されていた本田は定位置を失い、出場するとしてもトップ下での起用になる。事実、第22節のパルマ戦後半に、本田は「MF中央」としてプレーしている。とはいえ、これはあくまでも主将のモントリーボ不在が理由で、先発落ちの危機にあることに変わりはない。

 それでも、ここ30年で最悪の状態にあるミランにおいて、本田は「10番」の責務を負わなければならない。もちろん、それは容易なことではない。ピッチ外では相も変わらずクラブ首脳陣の対立が続く。

 ミラン内部に最も精通する人物、現在のチームの助監督を務めるマウロ・タソッティはこう明言した。

「セリエAの上位3枠に戻るには、少なくとも、来季から数えて3年は要する」

 これが紛れもないミランの現実である。それでも、自らそのクラブの「10番」を背負うことを選んだ本田は、「もっと上に行くために、懸命に練習してこの状況から抜け出さなければならない」と語るように、期するものがあるはずだ。

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