マドリードダービーに完敗。レアル最大の問題は両翼

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 この試合、レアル・マドリードはセルヒオ・ラモスを始め5人の主力を欠いていた。さらにセビージャ戦から中3日と、アトレティコに比べて疲労を蓄積させての試合だったのも確かである。試合後の記者会見でアンチェロッティは「普段ではあり得ないほど、選手の戦う姿勢と気持ちが足りていなかった」と語った。

 だが、それ以上に問題だったのはアンチェロッティが固執する3トップの起用だろう。3トップにするのは問題ではない。両サイドのクリスティアーノ・ロナウド、ベイルが全く守備に関与しないことが問題なのだ。それを証明するかのように、アトレティコの1点目も2点目も、サイドバックがゴールにつながるクロスを上げていた。特に左サイドはフアンフランが自由なプレイを謳歌するほどだった。

 格下のチームであれば、3トップの個人技でどうにかすることもできるだろう。だが強豪相手、しかも全員守備・全員攻撃を行なうアトレティコのようなチーム相手では、前線にボールが入っても味方との距離が遠く、囲まれてはボールロストを繰り返してカウンターをくらう。守備陣にとってひと呼吸すら入れることのできない苦しい展開を引き起こし、リズムを生み出すことができないのも当然だった。

「攻撃に力を発揮して欲しい」というイタリア人監督の考えもわかるが、少なくともケガ人が続出している今、3トップに守備を要求することも必要だろう。もしくはクリスティアーノ・ロナウド、ベイルのどちらかを外し、攻守のバランスの安定した4-4-2で戦うことも考えるべきだろう。

 特に再開するチャンピオンズリーグでは、アトレティコを見習うチームも出てくるはず。"自分たちのサッカーを貫く"では、2連覇どころか早い段階で大会を去る可能性が大きいと言わざるを得ない。

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