インザーギの去就は?本田圭佑が戻ったミランの現在

  • ステーファノ・メレガリ(『Forza Milan!』編集長)●文 text by Stefano Melegari
  • 利根川 晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 しかし2015年が始まると、ミランはまるで記憶喪失にでもなったかのように休暇前の好調をさっぱり忘れてしまっていた。9月からこれまでに培ってきたものは、全て消えてなくなってしまったようだ。先日対戦したラツィオは別として、新年からこれまでミランが戦ってきた相手はサッスォーロ、トリノ、アタランタ。決して破れない相手ではない。それなのにミランは勝ち点9ポイントを手に入れる代わりに、たった1ポイントしか稼ぐことができなかった。

 昨年末と年明けでなぜこれほどにも豹変してしまったのか、本当に理解に苦しむところだ。本田圭佑がいなかった以外は、ほとんどの選手は使える状態だし、冬のメルカートでアレッシオ・チェルチも手に入れた。彼の加入でミランはより盛り上がっていくはずだったのだが......。

 とにかく唯一確かなことは、ミランはすぐにでも頭を上げて再出発しなければいけないということだ。新たに選手を補強することも大事だが、まずは何より今いる選手たちでミランという船を立て直して前進することだ。

 日本の皆さんには悪いが、アジアカップでの日々を早めに終えて本田もミランに戻ってきた。早期敗退の悔しさやPK失敗の痛手を抱えての帰還だろうが、ミラニスタたちは彼がミランに失った自信を取り戻させてくれることを大いに期待している。

 とにかくまずは火曜日のコッパ・イタリアで勝利して、このミランを包む負の空気を打ち消すことだ。このコラムを昨年から読んでくれている読者の皆さんなら、監督を交代させることは決して良策ではないことを、よくご存知だろう。チームに混乱を生み出すだけだし、何よりここまでミランは監督を変えすぎてきた。

 今、私が選手たちに望むのは、謙虚な気持ちでもう一度自分たちの内を見つめる勇気を持つこと。そしてなにより自分たちが身につけているのは、多くの栄光を勝ち取ってきた世界有数の名門クラブ、ミランのユニフォームであることを思い出すことだ。読者の皆さんには悪いが、今回のコラムはオフィシャルマガジンの編集長としてではなく、一人のミラニスタとして締めくくらせてもらいたい。大きな声でForza Milan!!!!と叫びながら。


オフィシャル誌編集長のミラン便り>

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