マンUはソーシャルメディアで何を目指しているのか

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper
  • 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】SNSがサッカーを変える(2)

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 マンチェスター・ユナイテッドがソーシャルメディアの導入に臆病だったのもわからなくはない。このクラブはイギリスで、おそらくどの企業よりもメディアに取り上げられている。そのフェイスブックページがハッカーに攻撃されたら、世界的なニュースになるだろう(実際に攻撃されている企業はいくつもある)。

SNSでも人気のクラブ、マンUのルーニー(右)とファルカオ photo by Getty ImagesSNSでも人気のクラブ、マンUのルーニー(右)とファルカオ photo by Getty Images ソーシャルメディアはスキャンダルのタネにもなる。フットボール選手のネット上での発言は、つねにトラブルのもとになっている。クィーンズ・パーク・レンジャーズ(QPR)のセンターバック、リオ・ファーディナンドは昨年秋、ツイッター上に「QPRはいいセンターバックが欲しいんじゃないか」と書いたユーザーに向かって、「おまえの母ちゃんは、あばずれだ」と、汚いスラングで言い返し、イングランド・フットボール連盟(FA)から3試合の出場停止と罰金2万5000ポンド(約450万円)の処分を受けた。

 2011年以降これまで、FAは少なくとも60人のフットボール関係者に対し、ソーシャルメディアでの不適当なコメントをもとに処分を下している。アーセナルの監督アーセン・ベンゲルは、こう語った。「ツイッターについては心配している。クラブの中にとどまるべき事柄が、外に出ていってしまう。しっかり管理することが重要だ」

 クリスティアーノ・ロナウドがフェイスブックに自分で書き込みを載せないのも、ひとつにはスキャンダルを警戒しているためだ。クリスティアーノ・ロナウドのフェイスブックのページは英語だが、彼の母語はポルトガル語だ。だから彼は自分のメッセージをスタッフに送り、正しい英語にして掲載している。

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