シャルケCL決勝T進出。内田篤人「抽選会が楽しみ」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 試合はアウェーだったこともあり「失点しない」ことが優先された。近頃は3バックで戦うシャルケだが、早い時間帯から割り切ったように5バックになることも多かった。

 内田はその中で攻守に決定的な仕事をした。前半22分、相手左CKから中央でシュートを浴びたシーン。枠内に飛んだシュートを防いだのは内田だった。そのこぼれ球が再び相手に渡り、またしてもシュート。「反応するというよりも投げ出した」右足に、「シュートがミートした」。再びクリアし、決定機を防ぎきった。

 後半17分、マイヤーの得点シーンでは、右サイドの高い位置が空いたことを察知した内田が、スルーパスを出したプレイから始まった。

「スペースがあいてマルコ(・ヘーガー)が流れてきてたから、ひっかからないように使ってあげればいいかな、と」

 何気ない縦パスは冷静な判断から生まれたものだった。

 今やチームにとって欠かせない存在になった内田だが、試合の3日前にはディマッティオ監督から直々に呼ばれて話をした。「お前は練習を休まないヤツだと聞いているが、大丈夫なのか? 痛いなら言えよ」と言われたという。

 膝や太ももの故障が相次いだ時期もあったが、離脱中のときを除けば、内田が痛みで練習を休むことはない。だが「こっち」、つまりシャルケを始めドイツ、欧州では、自分の体調を考えて適宜練習を休むのは、決して悪いこととはされていない。試合で100%の力を出せるなら、むしろそれで良いとされている。「そう聞かれたから、じゃあ1日休ませて下さいと言って」、内田は休みをもらったと言う。

「もう、ただ一生懸命やる時期というのは過ぎたと思う。例えば先週のシュツットガルト戦のように大量リードしていたら、ある程度、適当にボールを回しておくとか。先のことを考えてプレイしなきゃだめだと思う。大事な時に力が出せるかどうかのほうが大事だから」

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