2試合連続ゴールにも悔い。岡崎慎司、真のエースに

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 後半は4-2-3-1にシステムを変更。相手のペースが落ちる中で攻勢に転じ、試合終盤こそ畳み掛けるようにシュートを放った。終わってみればその数、15本。それでも結果は1-2。敗れてしまうあたりが今のマインツらしさである。

 岡崎のゴールは敗戦濃厚となった後半44分、試合終了間際に生まれた。右CKをマリがニアサイドで頭で合わせゴール前に流す。ゴール前にポジションをとった岡崎がさらに頭で合わせると、ボールはバーをかすめながらゴールに吸い込まれた。実はこの直前に同じ右CKがあり、岡崎はディフェンダーとの駆け引きに敗れて体勢を崩してゴール前に入りきれなかった。得点シーンでは「もう一度来い、と思った」と言う。
 
 今季の岡崎は「チームを助けられる働きをしたい」と言う。「得点にこだわることは去年経験した」とも。15得点をあげた昨季をはるかに凌ぐペースながら、今季は自身の得点よりもチームの結果を気にしている。だからなのだろうか。得点シーンの直後、右クロスにゴール前で合わせたが、枠を外れたシュートが悔しいという。

「あとの(チャンス)を決めていれば同点だった。ああいうところを次も狙って、決められるようにしたい」

 試合後に岡崎が焦点をあてたのは、得点シーンではなく、その次のゴールを外したシーンだった。

 マインツはこれで2連敗。しかも6戦勝ちがないという苦しい状況だ。決して好調とはいえないチームで、岡崎は必ずしも好パスを得られているわけではない。チャンスが多いわけでもない。その中で8得点という結果を出しているのは評価に値するだろう。

 さらに岡崎が望むように、彼が得点することでチームを勝たせることができるようになりだしたら、それこそチームにとって真のエースに上り詰めるはずだ。マインツというチームにとって岡崎がどのような存在になっていくのか、目が離せない。

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