FIFAは2022年W杯のカタール開催を白紙に戻せるか

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper
  • 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】欧米対FIFAの闘い(後編)

 制裁が無理ならば、欧米諸国がスキャンダルまみれのFIFA(国際サッカー連盟)に対してとりうる最善の策は、圧力をゆっくり強めていくことだろう。この策はすでに始まっている。

(前編の記事はこちら)

絶大な権力を握るゼップ・ブラッターFIFA会長(photo by Getty Images)絶大な権力を握るゼップ・ブラッターFIFA会長(photo by Getty Images) FIFAの本部はスイスのチューリヒにある。その理由のひとつは、スイスが昔からスポーツの国際組織に対して、あれこれうるさく言わないことだ。

 だが最近のFIFAのスキャンダルは、スイスにとっても「迷惑な話だ」と、汚職問題に強いスイス人弁護士のジャンピエール・ミオンは言う。スイスは来年、告発がなくても私企業などの汚職・腐敗を罰することができる法律を制定するとみられている。FIFAに対しても、スイスはいくらか厳しい姿勢を打ち出すかもしれない。

 FIFAの姿勢を快く思っていないEU(欧州連合)の欧州委員会も、より厳しい態度に出る可能性がある。欧州委員会はテレビ放映権の売買について監視を強めるかもしれない。

 FIFAやUEFAの内部でも、ヨーロッパ人関係者の一部はより高い透明性を求めている。理事会の新しいメンバーは、以前の理事のようには妥協をしないようだ。FIFAのスポンサーも、いくらかの改革を行なっても気にしないだろう。

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