2014.12.04

FIFA批判止まず。欧州がW杯をボイコットする日

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper
  • 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 そこで欧米諸国は声を上げた。その結果、2010年にFIFAの理事を務めていた24人の高齢の男性のうち少なくとも3分の1が、賄賂を受け取った疑いなどでポストを追われた。その一部はフットボール界から追放された。FIFA事務局長のジェローム・バルクは、カタールがワールドカップを「買った」ことを示唆する私的なメールを送っていた(このメールの一件がメディアに漏れた後、バルクは誤訳がもとで誤解を招いていると主張した)。

 FIFAは2018年と2022年大会の投票についての調査を、アメリカ人の元検事マイケル・ガルシアに依頼した。今年11月にFIFAは、ガルシアの調査報告書はカタールとロシアの選出に問題はなかったと結論づけているとして、報告書自体を公開しないと発表した。

 ガルシアはFIFAのこの発表に不満を示し、報告書の公開を求めた。もちろん、多くの人々も同じだ。しかし、FIFAが透明性の高い組織に変わることを期待する人はいない。問題は今のFIFAとどうつき合うかだ。

 面倒な体制に対して、欧米諸国がよく繰り出す手段は制裁だ。ドイツ・ブンデスリーガのラインハルト・ラウバル会長は「UEFA(欧州サッカー連盟)がFIFAから脱退する」という選択肢を真剣に検討すべきだと語っている。

 ヨーロッパ諸国がFIFAとワールドカップをボイコットするというシナリオは、十分ありそうに思える。西ヨーロッパは世界の人口の6%を占めているにすぎないが、過去3大会のワールドカップ王者(2006年イタリア、2010年スペイン、2014年ドイツ)を生んでいる。FIFAのスポンサーの大半は欧米の企業であり、テレビ放映権の大きな契約はほとんどが欧米の放送局とのものだ。欧米諸国の出ないワールドカップは、これまでと同じものではなくなる。