ミラン勝利に貢献。本田圭佑の心の動きが感じられた一瞬

  • ステーファノ・メレガリ(『Forza Milan!』編集長)●文 text by Stefano Melegari
  • 利根川 晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 正直に言ってしまうと、PKの判定とウディネーゼのDFの退場は少し行き過ぎだったという気はする。しかし、ゴール前の本田が相手DFにとって常に危険な存在であったことは変わらない。だからこそ相手のファウルも誘ったのだ。本田は今シーズンここまでの13試合で、最もチームに貢献している選手であるが、この試合でもそれは証明された。

この7月、インザーギはトップチームの監督に就任すると、すぐに「本田の働きは今後ミランにとっての確かさになる」というコメントした。おそらくこのウディネーゼ戦を見て、先週のダービーで本田がキックオフからプレイしなかったことを嘆いたサポーターが少なからずいたことだろう。しかしサッカーは科学ではない。いくら論理的に勝利への道筋をたてても、試合に勝てないことは多々あるのだ。

 このあとミランを待ち構えているのはアウェーでジェノアとローマ、ホームでナポリ戦という熱い12月だ。対戦する全てのチームが現在のミランより上位に位置し、この結果いかんで今シーズンのミランの行方が決まるといっても過言ではない。ウディネーゼ戦に勝ったことで、この大事な時期の前に再び勝利の気運を取り戻せたことは、ミランにとって非常に大きな意味を持つと思う。

 さて、この試合では、本田の心の動きを感じられるちょっとしたシーンが見られた。本田はここまで毎試合活躍してきているが、実は途中交代が非常に多い。90分間フル出場した試合はたった3試合しかない。この日も終了9分前にポーリと交代をさせられた。インザーギから交代を告げられた時、テレビカメラにアップされた本田のその表情は彼の不満な気持ちを物語っていた。

 しかし彼がピッチを出るまでなり止むことがなかったサンシーロの観客たちの熱い拍手に、本田は視線を上げ、その表情を和らげた。サポーターに愛され、高く評価されていることを彼も深く感じることができたのだろう。ミラニスタの歓声に拍手で応える本田の瞳にはミラニスタの誇りが感じられた。

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