ドルトムント最下位転落。「クロップ監督の責任は?」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 左サイドからつないで組み立て、MFグロスクロイツから中央にいた香川真司に入れようとしたパスが、フランクフルトのCBルスの足下に入った。ルスはそのボールを前方へクリアするが、それが前線でフリーになっていたMFマイヤーの前方のスペースへ、ちょうど良いスピードのパスになってしまう。抜け出したマイヤーは、ドリブルから冷静にGKの動きを見極め、抜ききらずに流し込んで先制点とした。

 先発出場したフランクフルトの乾貴士は「ラッキーでした」と、このシーンを振り返った。

 その後、クロップは珍しく前半のうちに交代のカードを切る。右SBのピスチェクを外し、グロスクロイツを右SBに動かす。そして1トップだったオーバメヤンをよりスピードの生きる2列目左に移動させ、1トップにはラモスを据えた。ちなみに、ラモスと同時にウォーミングアップをしていたのは左SBのシュメルツァー。右SBを変えようというその意向は明らかだった(シュメルツァー投入の場合は左SBのドゥルムを右に回す)。前半でのSBの交代は、指揮官が試合前に考えたプランが間違っていたことを認めるようなものでもある。それだけ追い込まれ事態であることがうかがえた。

 後半もオーバメヤン、ラモスを中心に、ドルトムントが攻め込む。しかし、ケガのロイス不在の穴は大きく、快足の攻撃陣がスピードに乗り切れない。かといって効果的な遅攻を見せられるわけでもなく、シュートにも運がない。

 フランクフルトの追加点は、オーバメヤンが中盤でボールを奪われたところから始まった。前線への何気ないフィードを、ドルトムントのDFギンターが頭でバックパスをした方向と、フランクフルトのFWセフェロビッチの走り込んでいた方向が一致してしまい、中途半端に前に出たGKを尻目に、セフェロビッチが難なく押し込んで2-0に。これもまた不運な失点だったが、何かがうまくいっていないドルトムントの現状を象徴するような失点だった。

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