ドルトムントはリーグ戦優先。香川真司、苦悩を吐露 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by AFLO

 とはいえ引き分けでも首位突破が決まる試合で、開始2分にあっさり先制点を許すあたりが現在の弱さなのだろう。結果は2-0でアーセナルが勝利した。

 3日前には、今季クラブ史上初めて1部昇格を果たしたパーダーボルンに引き分けた。香川の言葉を借りれば「負けに等しい引き分け」。さらにチームの主軸、ロイスが長期離脱を余儀なくされるケガを負い、クラブは暗い雰囲気に包まれた。ミックスゾーンには1人しか選手を出さず、そのことでクラブの広報とドイツ人記者が軽くもみあうシーンまで見られた。

 その試合からの流れが断ち切りきれない。「(前の試合の)相手が昇格組だったので、すごく苦しい中で今日を迎えたんですけど、最初のほうでそれが出ちゃったというか。立ち上がりでああいう失点をするというのは......なかなか勝てない流れになった」と香川は語る。クロップも「考えうる中で最悪の立ち上がり」と認めざるを得なかった。

 その後は、ボランチを含めた6人で低い位置をとり、ゆったりと守るアーセナルを全く崩しきれない。バイタルにチャレンジ性のあるパスが出ないのは、香川に言わせれば「それ以前の問題」。攻撃陣の問題という以前に、立ち上がりの失点で相手に守る余裕を与えてしまったのが敗因だということだ。だからこそ立ち上がりの失点が悔やまれる。

 その香川については、前日会見でクロップが「もっと良いプレイができる」と語っているが、それは質問があったからに過ぎず、「それは他の選手たちにも言えることだけど」とつけ加えている。香川に限定した話ではなかった。

 アーセナル戦では2点目を奪われた後、後半途中から出場。約30分の出場時間のうち、ラスト10分は、強いパスで味方を走らせたり、強引にドリブルを仕掛けたりと、ゴールへの意図を見せるプレイもあった。ただしそれまでは意図のはっきりしないプレイが目立ち、本調子からはほど遠かった。

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