香川真司、信頼取り戻せず。ドルトムントに不測の事態も (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 この日もポジションは4-2-3-1のトップ下。ボランチには視野が広く、パス供給に長けた展開力のあるギュンドアンが復帰した。1トップには快足のオーバメヤン、右にミキタリアン、左にロイスという布陣だ。MFヌリ・シャヒン、ブワシュチコフスキらが離脱中の今、このメンバーで関係を成熟させたい、いわば現時点でのベストメンバーだ。

 だが、まさに香川の言葉通り、周囲のスピード感と全く噛み合ない。ゴール前に入るタイミングを逸して、2得点に全く絡めなかったのはトップ下の選手としては痛恨だろう。前線でなかなかボールに触れないために、ボールを求めて中盤に引いてくると、今度は両サイドが内に入るため、上がるスペースがなくなる。しかたなくサイドをうろうろするといった動きになる。

 また、先発したギュンドアンが前線へのパスを供給できることから、香川がチャンスメイクに関わる回数も激減した。後半立ち上がりには、カウンターでGKと1対1になるチャンスが訪れたが、ここではオーバメヤンへのパスを選択している。

 攻撃においては、今のところ香川の存在感は非情に薄いと言わざるを得ない。ただ、この日は2点をリードして香川が退いた直後に失点、さらに追加点を奪われて追いつかれるという展開だった。香川が退いた直後に失点することが続いている(バイエルン戦でも香川交代の1分後に失点)ところを見ると、守備面では貢献しているとも言える。

 ドルトムントの台所事情から、香川は当面、先発で試合に出場し続けるだろう。だが、チームも苦しければ香川自身も苦しい。現状を打破するには本人がいうように「結果」しかないのだろうか。時間をかけてチームにフィットしたいところだが、時間は待ってくれない。

 本来であれば合宿を行ない、後半戦にむけチームを立て直すのがウインターブレイクだが、何事もなければ香川は来年1月、アジアカップに参加することになる。日本代表の結果次第ではあるが、場合によっては合宿はおろか、後半開幕の第18節(1月31日)にさえ間に合わないことになる。年内はあと5試合。香川にとって厳しいシーズンはまだまだ続く。

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