ドイツ誌も注目。山田大記がゴールを量産し始めた理由 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 山田はこのチームで、主に4-2-3-1の左MFでプレイしている。山田にボールが渡ると、ドリブルでの突破やラストパスなど、ゴールにつながるシーンが作られるのは確か。単独で強引にゴールを狙うというよりも、味方を使いつつ巧みにゴールを奪うという印象が強い。そのスピードとテクニックは、ここでも目を引くものがある。日本人の2列目に多い小柄でスピーディな選手は、特に2部では際立って見えるのだ。

 山田の獲得は、スポーツディレクターのイェンス・トッド氏が強く希望したと言われる。山田の能力を高く買い、かつて在籍していたボーフム時代から獲得を希望していたトッド氏だったが、彼にとっての新天地でもあるカールスルーエでそれが実現したというわけだ。これが山田にとってはまたとないチャンスとなった。 
「もしチャレンジしてみて失敗なら失敗でいい。でも失敗さえしないで、日本にそのままいて、引退するときに『一度海外でやってみたかったな』と思うのはイヤだった」

 山田はシーズン当初にこう語っている。そのチャンスをがっちりとつかみ、成長の途中にある。このままチームが昇格すれば、ステップアップのための移籍をせずとも、大きな舞台で戦えることになる。

 このチームに山田が必要とされ、結果も出しているのは、チームのサッカーが肌にあったということが大きい。カウチンスキ監督は、2部にありがちな大味なサッカーを展開するのではなく、細かいミーティングと実戦を繰り返している。山田にもチームメイトが丁寧な説明をしてくれるのだと言う。対戦相手によっては戦術的な決めごとも少なくなく、選手はそれぞれの役割を担う。フィジカルとスピードに任せた個人任せのサッカーではないことが、山田が埋もれてしまわなかった大きな理由だろう。

 山田にとって、もちろん日本代表のために日常があるわけではない。だが、この調子で活躍が続けば、代表で見てみたいと思うのは自然なこと。この4年間のどこかで、山田にそんなチャンスが巡ってくるはずだ。

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