苦しむシャルケ。内田篤人「もっとできるはずなのに」

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 ボアテングは、シャルケに加入した頃やそれ以前は攻撃的MFで活躍していたが、ケラー時代に苦しい台所事情からボランチ起用され、これによって中盤は劇的に安定した。前への推進力には少々欠けることもあったが、ボランチでのボールさばきは他の選手に比べて長(た)けていた。本来のボランチ、マルコ・ヘーガーが復帰したこともあるが、中盤が安定しないのはボランチの変更が大きいはずだ。

 メンバーを固定しきれない最終ラインも苦しい。スポルティング戦ではここ3戦、左SBで出場していたアオゴをボランチで起用し、フクスを左SBにすえた。結果、左サイドは常に相手に狙われ続け、失点につながる突破も許した。これまで通りアオゴを左SBで使い、ボランチでボアテングを先発させていれば......と、つい考えてしまうのだ。

 攻撃陣においても新監督は色を出そうとしている。2列目争いではナイジェリアのオバジがリードしている。特にホームでのスポルティング戦で得点してからは、ラッキーボーイ的に起用が続く。

 だがオバジは、ゴール前へ入るドリブルや得点力はあるものの、キープ力そのものに優れているわけではなく、例えばオバジが右でプレイすると、内田のプレイも変更を余儀なくされる。「チュポモティングだったら体が強いから、あてて自分が上がれるけれど、オバジだと危険だから低い位置でプレイした」と、内田はブンデスリーガ第10節、アウクスブルク戦後に語っていた。

 新監督の新しい選手起用が馴染まない。その間にもリーグ戦、CLは休みなく続く。「チームの変化は時間が解決してくれる。だけど試合が怒濤のようにある」と、内田は表現した。

 CLでは同組のチェルシーがマリボルと引き分けたため、シャルケは幸いにもグループ2位をキープしている。監督交代の狙いは是が非でもCL決勝トーナメント進出を果たすことにあったはずだ。残る2戦、かつてチェルシーでCL優勝を成し遂げた監督力が発揮されるかどうかに注目が集まる。

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