ミラン副会長がプラティニと比較した本田圭佑の活躍 (2ページ目)

  • ステーファノ・メレガリ(『Forza Milan!』編集長)●文 text by Stefano Melegari
  • 利根川 晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 この日のキエーボ戦のデータによると、本田は54回ボールを触っている。この数は同じトレクアルティスタ(2列目)のボナベントゥーラやメネスに比べるとずっと少ないが、その効率の良さは最高だ。同じサイドにいるアバーテとの連係は攻守どちらの場面でも完璧で、そこから多くの有効なプレイを生み出している。

 この試合の一番象徴的な場面は、ゴールにつながったFKのシーンだろう。FKが与えられた位置はゴールから20メートル以上も離れていた。メネスがボールを蹴ろうとしていたところに本田が近づいて、FKを蹴るのは自分であることを主張した。メネスはそれには承服できない様子で短いが激しいやり取りがなされた。それを見た仲間たちが2人の間に割って入る。その後、本田がボールのそばに残り、なにか捨て台詞(ぜりふ)を吐きながらもメネスが離れた。しかし本田は動じることなく、敵のGKが決して取れないところへと冷静にボールを叩き込んだ。キッカーに本田を選んだ仲間の期待に見事に応えた形となったのである。

 その他のデータも本田の活躍を物語っている。ここまでの6試合で、ゴールマウスに飛んだ本田のシュートは6本。そのうち4本がゴールとなっている。その他にもゴールにつながるアシストを2回しているので、ミランが今季決めた13ゴールのうち、実に6ゴールに本田が絡んでいることとなる。また13ゴールは首位のユベントスと並んでトップ。ミランはセリエAの中でも最高の攻撃陣を持っていることにもなる。

 本田が子供の頃、学校で書いた作文――世界最高の選手になりたい、(ミランの一員となって)セリエAでプレイしたいという夢を、今彼は確実に実現しつつある。

 終了10分前に本田が交代をした時、サンシーロの観客たちはスタンディングオベーションを彼に送った。その拍手を聞きながら、2014年前半の出来事はすでに過ぎ去った思い出となったことを改めて実感した。

 試合後、上機嫌のガッリアーニは冒頭のコメント以外にもロッカールームでこんなことを言っていた。やはりイタリアで10番をつけプレイしていたかつての外国人選手と本田を比べての台詞だ。

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