ポスト・ラームの時代へ。新陳代謝を始めたドイツ代表
主将を引き継ぐシュバインシュイガー(バイエルン)はラームとわずか1歳違いの30歳。負傷が多く、このアルゼンチン戦でもベンチに入っていなかった。4年後を考えると心配な面がないとは言えない。ちなみに他に新主将候補にあがっていたのは、28歳のGKノイヤー(バイエルン)や25歳のDFフンメルス(ドルトムント)だったと言われている。
今回の代表合宿は9月1日、月曜日に始まったが、初日のスタジアム練習は公開で行なわれ、ビルト紙によれば約4万人のファンが見学に訪れたという。翌2日には試合前日会見が行なわれ、レーブ監督は新主将をシュバインシュタイガーが務めることを発表した。そして3日がアルゼンチン戦。お楽しみをうまく分散し、3日間を通して常にフレッシュなニュースが流れるように調整されているようで、ドイツサッカー協会の話題づくりの巧みさが印象に残った。
アルゼンチン戦のメンバーを見てみると、シュバインシュタイガーのほかにケディラが不在。FWではW杯メンバーではなかったマリオ・ゴメス(フィオレンティーナ)が先発出場したが、2度、3度と決定機を外し、交代の際にはブーイングすら受けた。久々の代表復帰だっただけに気の毒ではあった。
その他の先発には若手が多く名を連ねた。MFクリストフ・クラマー(ボルシアMG)23歳、DFエリック・ドゥルム(ドルトムント)22歳、DFマティアス・ギンター(ドルトムント)20歳、MFユリアン・ドラクスラー(シャルケ)20歳。途中出場のDFアントニオ・リュディガー(シュトゥットガルト)は21歳。
すでに代表の主力であるトーマス・ミュラー(バイエルン)、トニ・クロース(レアル・マドリード)もまだ24歳と若く、2年後の欧州選手権(フランス)、そして4年後のW杯(ロシア)では、すっきりと新陳代謝を果たしたドイツ代表が見られることだろう。
代表のサッカーそのものの質は、ラームがいなくなったことで大きく変わっていくはずだ。左右のサイドバックだけでなくボランチもこなし、守備力だけでなく、ボールさばきも巧みで、得点感覚もあるというマルチプレイヤーであるラームがいるからこそ、ドイツ代表はそのスタイルに幅を持たせることができた。
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