ダービーは出番なし。スポルティング田中順也の立ち位置 (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi
  • photo by Global Imagens/アフロ

「今日、田中は試合に出なかったが、それはやむ得ないものだ。監督マルコ・シルバは田中をCFで起用することを考えている。だが、チームにはスリマニという絶対的なエースがいる。個人的には田中は左サイドでプレイした方が生きると思うが、監督の考えはCF。そうなると試合の展開から言っても今日は出しづらい。田中にはチームが負けている時のジョーカー、もしくは大量得点を取りにいく試合で得点を決める役割が今は求められている」

 田中はどれだけチームの戦力として考えられているのだろうか。そしてサポーターは日本からポルトガルへと渡った選手をどう考えているのだろうか。

「はじめはもちろん、サプライズだった。日本人を獲得するわけだからね。だが、彼はプレシーズンで5得点を決めチーム得点王になったし、第2節のアロウカ戦では得点につながるプレイを見せてくれた。彼が決してリスボンに遊びに来たわけではないと皆が感じている。今ではチームの大事な戦力の1人と歓迎している」(セルヒオ・ペレイラ)

 また、田中の日本代表選出については、「スポルティングでわずかな時間しかプレイをしていないので、選ばれたことにはビックリした。日本は今ではW杯の常連であり、アジアを代表するチームだ。彼が選ばれたことはスポルティングの判断が間違っていないことの証明にもなる。チームに残ってしっかりと2週間練習を積めば、よりチームに適応できるだろうが、選手にとっては代表に選ばれるのは誇り。活躍はもちろん、ケガやリズムを崩さずに帰って来ることを願っているよ」と、まるで大事な我が子を送り出すように語るのだった。

 田中の現在のチーム内での立ち位置はFWの第2オプション、そしてスーパーサブとして期待されていることがわかった。とはいえホーム、エスタディオ・ジョゼ・アルバラーデで行なわれる次のリスボンダービーまでには十分時間がある。満員のスポルティングサポーターに埋め尽くされたダービーで、日本人FWの名前がスタジアムに響くことを期待してやまない。

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