日本人GK初のCL出場へ。川島永嗣「可能性はある」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Berga Image/AFLO

 冗談めかしたコメントだが、厳しい戦いへの弱気な姿勢が表れていたのは残念でならない。しかし、そんな指揮官の姿勢とは真逆に、川島は本戦進出へ望みを失ってはいなかった。

「現実的に認めなきゃいけないことは認めなきゃいけないと思うし、(突破が)簡単ではないというのは間違いない。今日の前半を見ても、判断のスピードとかボールを動かす早さとか、技術の部分も含めて相手のほうが良いのは確か」

 試合は特に前半、ゼニトのペースで進んだ。小気味良くパスをつながれるとリエージュはついていけなくなり、ゴール前に人数がいるにもかかわらずボールウォッチャーになったことで先制点を許した。ピンチの多くが左サイドで招いているのは明らかだったが、それに対応できず苦しんだ。

 それでも後半になると相手にプレッシャーをかけられるようになり、カウンターを狙うことができるようになった。試合終盤には相手GKのファインセーブに防がれたものの、同点のチャンスもいくつか生まれた。敗れはしたが、手応えを感じられる試合でもあったのだ。だからこそ、川島は語る。

「対戦する以上、(両チームに)フィフティフィフティのチャンスがあるわけだし、それ(勝利)が何パーセントだかは興味ない。今日と来週、試合があるということが可能性だと思うし、こういうチャンスが目の前にあるということ自体が素晴らしいことだと思う。このチャンスを最大限に生かせるようにやりたい」

 またこの試合では、昨季、左ひざ靭帯断裂の大ケガを負った小野裕二がベンチ入りした。後半、休まずウォーミングアップを続けたものの、声はかからなかった。それでも、復帰に向けて大きな一歩を踏み出したことに間違いはない。

 まだプレイへの怖さが残り、状態も万全ではないのだと言う。だが小野は「多少無理してでもやっていかないと。ずっと待ってくれるほどチャンスはないと思う」と、現状を認識している。

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