日本人鬼門のリーガ挑戦。ハーフナー・マイクの優位性

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi
  • photo by Getty Images

 現ラジオ局のコルドバ番記者のフラン・ドゥランによれば、「プリメーラを戦う上でコルドバが楽観視できる要素は一つもない。自分たちが他のチームに比べて経験値で劣っていることは重々承知だ。だが、サッカーは何が起こるかわからないし、少なくともチームは戦う気持ちを持っている」のだそうだ。気持ちの面ではリーガ3強に劣らないものを持っていると、まるで自分に言い聞かせるかのように話してくれた。

 チーム事情は決して恵まれたものではない。だが、ハーフナーにとってプラスなのは指揮官アルベルトがフィテッセ時代の監督であり、自身のプレイを理解していることだろう。そして、コルドバがパスで崩すチームではなく、サイドからのクロスとセットプレイから得点を狙うチームであることも有利な点としてあげられる。

 城彰二、西澤明訓、大久保嘉人、中村俊輔、家長昭博......これまでリーガでプレイした日本人選手はスペイン語で話されるチーム戦術をしっかりと身につける必要があったが、ハーフナーに求められるものは至ってシンプルなものだ。

「マイクは自分でゴールへ向かうタイプのFWではない。あの高さはコルドバの武器になるものだ。別に魅せるようなプレイは望んでいない。しっかりと楔(くさび)となって、チームの攻撃に深みを持たせて、フィニッシュをしてくれればいい」と、フランはチームの中での日本人の仕事を語る。

 さらに、フランはハーフナーについて「現時点ではレギュラーを取れるかどうかという位置にいる。監督の信頼を得るためには得点をとることが一番大きいアピールになるのは言うまでもない。ともかく、彼にチームに適応するための時間は与えないといけない」と語っている。42年ぶりにプリメーラに上がったチーム同様に、日本人選手にも辛抱強く時間を与えることが必要だというわけだ。

 ハーフナーに対する期待は決して小さなものではない。それを証明するかのようにマルカ紙が発行する選手名鑑の寸評では"右でも左でもゴールを決められる。そして、その長身から空中戦でも強さを発揮する"と、まるでイブラヒモビッチについて記述しているかのような期待の言葉に包まれており、チームの目玉選手として伝えている。

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