プレミア開幕。今季の香川真司に居場所はあるか? (2ページ目)

  • 斎藤史隆●文 text by Saito Fumitaka photo by Getty Images

 昨季のリバプールは1989年以来の栄冠を目前にしながら、最後につまずいた。3季目となるブレンダン・ロジャーズ監督の下、今季の期待が高まるが、成否のカギはひとつに尽きる――。昨季の最優秀選手、得点王の2冠に輝きながら、バルセロナへ移籍したFWルイス・スアレスの穴をいかに埋めるか、だ。

 その役割を担うのは、チーム加入以来ひと皮むけたダニエル・スタリッジ、成長著しいラヒーム・スターリング、サウサンプトンから移籍したリッキー・ランバートあたりか。しかし、昨季のリーグ戦33試合で31得点を挙げるだけでなく、変幻自在の動きで相手を苦しめたスアレスの穴を埋めるのは、容易ではないだろう。

 むしろリバプール以上に面白い存在は、アーセナルではないか。昨季は4位だったとはいえ、FAカップを制覇。2006年以来のタイトル獲得は、ベンゲル監督いわく「チーム全体に安心感と自信を与えた」。また、戦力もバルセロナからチリ代表FWのアレクシス・サンチェスを獲得したことで、攻撃の選択肢が増えた。ただ、昨季は上位チームとの直接対決で好結果を残せなかっただけに、優勝するためにはその壁を乗り越えなければならないことに変わりはない。

 上位4チームの戦力を見る一方、それと同等以上に関心事といえるのが、デイビッド・モイーズ体制で昨季7位に終わったマンチェスター・ユナイテッドが挽回できるかどうかだろう。8月12日、ユナイテッドは開幕前最後の強化試合でバレンシアと対戦。試合終了間際にマルアン・フェライニの決勝点で勝ち、6戦全勝でプレシーズンを終えたが、ルイス・ファン・ハール新監督の見方は、「内容は一番悪かった」と厳しかった。

 新指揮官はオランダ代表でも一定の成功を収めた3-4-1-2のフォーメーションを採用していたが、現在は新システムと選手を融合させる試運転段階といったほうがよさそうだ。仕切り直しとなるユナイテッドにとっては、昨季逃したチャンピオンズリーグ出場権を獲得することが現実的な目標となるだろう。もっとも、マスコミやファンなどの周囲がそれで納得するかは別問題だが......。

 そして、ユナイテッドで3季目を迎える香川真司の処遇も気になるところだ。プレシーズンでは6試合に出場したが、いずれも途中出場。バレンシア戦でも後半17分からピッチに立ち、ウェイン・ルーニーとハビエル・エルナンデスのトップ下に入ったものの、ボールが回る場面は少なく、まったく存在感を示せなかった。当面、トップ下にはスペイン代表のフアン・マタが起用され、ベンチからの出場となるだろう。

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