移籍の長谷部誠。早くもフランクフルトの中心に

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by AFLO

 長谷部はキャプテンマークこそ巻いていないものの、ボランチで全体を鼓舞し、リードした。長谷部らしさ、存在感は新しいチームでも早速発揮された。フランクフルトの2点目は、長谷部が相手DFをかわして入れた縦パスが起点となり、乾のセフェロビッチへのアシストへとつながった。

「ここまでチームとしてあまり良くなかったですけど、今日は良いところもあったと思うし、もちろん、修正しないといけないところもあると思うし。チーム作りとしては一歩前進したかなと思います」

 長谷部はこう試合を振り返った。新加入選手ではあるものの、全体について見渡す余裕があるように感じられる。チーム全体の仕上がり具合についても、俯瞰したような視線で語っている。

「新しい監督が来て、新しい選手も何人かいて。新しいところがたくさんあるので、チーム作りも手探りの状態で始まったのですが、ここにきて少しずつ良くなってきているのかなというのはありますけど、(一方で)まだ時間はかかるのかなというのは、正直なところ、感じますね」

 フランクフルトは、昨季まで指揮したアーミン・フェーが去り、かつてブレーメンを15シーズン率いたトーマス・シャーフが監督に就任している。個性的な選手を有効に起用する手腕に定評があり、エジル(アーセナル)やジエゴ(フェネルバフチェ)は彼の下で成功を収めていった。今季、長谷部と共に主力としてプレイすることが期待される乾貴士も、昨季後半はほぼ戦力外に近い扱いを受けていただけに、再生への道が見えてきたのは嬉しいところだ。

 指揮官の交代だけでなく、主力選手の移籍もあった。長谷部がプレイするボランチではローデ、シュベグラーが移籍。チームの形が大きく変わる中で、長谷部への期待は小さくない。本人もその点は自覚している。

「その点ではかなりやらないといけないところがあるんです。以前いた選手は中心でやっていた選手たちなので、そういう意味では責任感はあります」

 昨季13位で終わったフランクフルトが今季はどこまで順位を上げる事ができるか。ベテラン長谷部の果たす役割は大きい。

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