リーグ・アン開幕。PSGの圧倒的強さにあきらめムード? (2ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi photo by AFLO

 しかし、ハメスが今後のクラブの大黒柱になることを期待して補強したのだから、もう少し粘ってもよかったのではないか。少なくとも、まだまだ発展途上中のハメスにとっても、レアル・マドリードでベンチを温めるリスクを負うより、モナコの主軸としてチャンピオンズリーグを経験するほうが今後のステップアップにつながるのではないか......。個人的には、ビッグクラブへの移籍はそれからでもよかったと思えてならない。

 さらに、故障から復帰したエースのFWラダメル・ファルカオ(コロンビア代表)までもがレアル・マドリードに移籍するのではないかという噂も立っている。もしこれが実現すれば、モナコは大金と引き換えに、大幅な戦力ダウンを受け入れざるを得なくなる。

 その他、モナコはこのオフシーズンに、元フランス代表DFのエリック・アビダルをオリンピアコス(ギリシャ)に、昨シーズン10ゴールのFWエマニュエル・リヴィエールをニューカッスル(イングランド)に、さらにボランチのムニル・オバディをエラス・ヴェローナ(イタリア)に放出。DFにアビダルとリカルド・カルバーリョ(元ポルトガル代表)、MFにジェレミー・トゥララン(フランス代表)とジョアン・モウティーニョ(ポルトガル代表)、FWにディミタール・ベルバトフ(元ブルガリア代表)と、経験豊富なビッグネームを大量に補強した昨シーズンと比べると、随分と寂しい状況と言える。

 もっとも、このモナコの方針転換は、UEFA(欧州サッカー連盟)が推進する「ファイナンシャル・フェアプレイ」の影響と見られている。これは、各クラブの財政健全化をルール化しようというUEFAの試みであるが、現在はパリ・サンジェルマンがこれに抵触するとして、人件費や補強費などについてペナルティを課せられている最中だ。よって、クラブの総収入に限界が見えるモナコにとっては、やむを得ない方針転換と言えなくもない。

 ただ、今シーズンのリーグ・アンに明るい話題がひとつもないわけではない。新シーズンの話題の的となっているのが、昨シーズン6位に終わった名門マルセイユだ。もちろん、その最大の理由は、新指揮官にアルゼンチン人のマルセロ・ビエルサが就任したからである。国内最大の人気を誇るマルセイユは、お金の力ではなく、指揮官の力でチャンピオンズリーグ出場権の奪回を狙っているわけだ。

 ビエルサはさっそく、自分色の強いチーム作りに着手している。ここ数年の主力だったフランス代表MFマテュー・ヴァルブエナをディナモ・モスクワに売却した他、DFの要だったスレイマン・ディアワラ(セネガル代表)も戦力外通告。その一方で、レンヌから強烈な左足を武器とするロマン・アレッサンドリーニを獲得している。一昨シーズンに大ブレイクし、フランス代表に招集されながら大きなケガで長期の戦線離脱を強いられたアレッサンドリーニだが、復活を果たした昨シーズンのプレイぶりを見れば、ビエルサ・マルセイユにとって今シーズンの目玉選手となることは間違いないだろう。

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