とり・みきとヤマザキマリが体感した、W杯の実態 (3ページ目)

ヤマザキ 基本的にヨーロッパの人たちは、組織化されたり、周囲と同一化することが嫌いな傾向が強いです。子どものころから皆で集まってまとまって足並み揃えて同じ事をする、ということが大嫌いで、学校でも何でもそうですけれども、制服もないし授業の態度も日本みたいにお行儀よくないし、体育祭とか文化祭的な一致団結的イベントものも滅多にないし、とにかく「個人主義」。でも、その中で育まれたそれぞれの熱意が、合致するところではきちんと合致する。ベルギーの人たちの、バラバラで自然なんだけど肝心なところで一体化する応援というもの見ていて、そういうところを強く感じました。

とり・みき サッカーファンの間では有名なんですが「赤い悪魔」というのがベルギーチームの呼び名なんです。

ヤマザキ 悪魔のお面をつけてる人もいましたね。

とり・みき マンチェスター・ユナイテッドも韓国も「赤い悪魔」と言っていますけど、元祖「赤い悪魔」はベルギーなんです。

ヤマザキ あと感動したのは、応援に気合いの入っていた観客がほぼ全員中年以降の「おやじ」だったというところ。もちろん若い子たちもいるのだけど、経済力がちょっとあるから応援のアイテムにコストも掛かっている感じでした。気合いも入っているけど、どこかにお祭りを楽しもう!というお茶目さというか遊び心があって、そんな雰囲気を放っていたのはだいたいが40代、50代という雰囲気でしたね。

とり・みき おやじサポーターは、ワールドカップ慣れしていますね。

ヤマザキ 世界のいろんなものを見てきた人たちでしょうから、国際大会にも慣れているんでしょうね。

とり・みき ロシアとの、微妙なノリの違いに関してはどうでした?

ヤマザキ ロシアはベルギーに比べるとやはり「遊び」「お祭り」感が薄かった気もします。人数もベルギーよりは少なかったからかもしれないけれど、皆が応援で繰り返し「ル・シ・ア」と発している声も統一されていて、試合に国力が掛かっているんだ!という迫力というか真剣さを感じました。ベルギーが「今日は楽しみに来たんだから楽しい試合を見せてほしい」というお祭りオーラを出しまくっていた為に、ロシアのストイックな応援が余計目立ってしまったのかもしれませんが。

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